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超音波検査(胆嚢③)

超音波検査「胆嚢③」

胆嚢にできる腫瘤のうち数ミリ大の小さい胆嚢ポリープは、ほとんどが良性のポリープです。①, ②, ③は胆嚢ポリープの画像です。①は5mm大、②は6.6mm大の小さなポリープで、ポリープの頭部に比べて、胆嚢の壁と接している茎の部分は見えるか見えないかの細い形をしたキノコ状のポリープです。このような茎の細い小さなポリープは、コレステロールポリープといわれる良性ポリープです。③では3mm~6.8mm大のコレステロールポリープが散在しており、しばしばコレステロールポリープは胆嚢内に多発します。

また、④, ⑤は同一病変で、胆嚢底部の胆嚢壁(黄色矢印で囲まれている部位)が厚くなっており、胆嚢腺筋症といわれる胆嚢壁が肥厚する良性疾患です。④, ⑤では約15㎜にわたって、胆嚢底部が厚くなっています。胆嚢腺筋症では、胆嚢の底の部分のみが厚くなる底部型や、胆嚢の真ん中あたりがひょうたんの形の様に内腔がくびれて壁が厚くなる分節型、胆嚢全体の壁が厚くなるびまん型などのタイプがあります。④, ⑤は底部型の胆嚢腺筋症で、胆嚢底部の胆嚢壁肥厚が見られています。


⑥, ⑦は同一病変で、胆嚢の体部の壁が厚くなりひょうたんの形に内腔がくびれる分節型の胆嚢腺筋症です。⑥, ⑦では胆嚢の中央部の胆嚢壁が肥厚(黄色矢印)しています。胆嚢腺筋症の壁では、厚くなった胆嚢壁の中に、小さな黒色の点で示される洞窟様の小部屋(赤色矢印)がエコーで見えることがあります。この小さな黒色の部屋はロキタンスキー⁼アショフ洞(RAS)と呼ばれます。時として、このRAS内に小さな結石を認めると、⑦の緑色矢印で示されるように白色の影を引いた白色点状の画像が見え(コメットサイン)、これらは胆嚢腺筋症を疑う所見となります。⑧, ⑨, ⑩は同一病変で、びまん型の胆嚢腺筋症です。胆嚢の壁全体が厚くなり、最外層の白色の胆嚢壁(黄色矢印)は6mm ~7mmと壁肥厚を示しています。胆嚢内腔側の胆嚢壁もほとんど内腔が無くなるほど肥厚し、内部に一部RAS疑われる空洞(赤色矢印)を所々に認め、またコメットサイン様の白色点状像(緑色矢印)も認めています。


⑪, ⑫, ⑬は同一病変で、胆嚢の体部で内腔がくびれる形に胆嚢壁が厚くなる分節型の胆嚢腺筋症(黄色矢印)です。基本的に胆嚢腺筋症は良性疾患ですが、胆嚢粘膜と広い面積で接するような形で胆嚢内で増大してゆく胆嚢癌との鑑別が必要になることがあります。この病変も胆嚢癌の可能性が完全には否定できず胆嚢摘出の手術となりました。術後の切除標本の病理検査結果では、癌細胞は認めず良性の腺筋症でした。

⑭, ⑮は同一病変で胆嚢癌の画像です。⑭では胆嚢の底部(黄色矢印で囲まれている部位)で胆嚢の内膜がはっきりせず、胆嚢壁が厚くなり淡い黒色の腫瘍像を認めます。胆嚢の正常粘膜面は、エコーでみると白い細い線に見えます。⑮の画像では赤色矢印がしめす部分までは胆嚢の粘膜が明瞭な白い線として追えますが、2個の赤色矢印の間の赤い線で示された部分は、胆嚢癌により胆嚢粘膜の白いラインが追えず、胆嚢の底部(黄色矢印で囲まれた部分)に淡い黒色の胆嚢癌が増殖しています。また、肝臓内には転移性肝腫瘍(緑色矢印)も見られています。

 

参考ブログ: 

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