超音波検査「リンパ節②」
リンパ節は、リンパ管内のリンパ液に侵入した細菌やウイルス、癌細胞などの異物をせき止めて排除し、外敵から体を守る役割を担っています。そのために、細菌やウイルスの感染に伴い炎症性に腫大することもありますが、癌による癌細胞の侵入や、白血病や悪性リンパ腫などの血液疾患による腫瘍細胞の浸潤でも大きくなります。①~③は同一症例で、腹腔内の悪性腫瘍により腫大したリンパ節の画像です。①,②ではドップラーで色が付く下大動脈(黄色矢印)と下大静脈(水色矢印)の周囲に、20㎜弱に腫大した大動脈周囲リンパ節(赤色矢印)が見えています。③でも肝臓背側の血管周囲に、楕円形~円形のリンパ節(赤色矢印)が灰色の腫瘤として確認できます。④~⑥も腹腔内悪性腫瘍によるリンパ節腫脹の同一症例画像です。④,⑤では、胆嚢(白色矢印)近傍の肝門部(肝臓に血管や胆管が侵入する所)に、円形に腫大したリンパ節(赤色矢印)が観察されます。さらに肝臓内に、悪性腫瘍による転移性肝腫瘍(黄色矢印)も見えます。また、⑥は膵臓周囲のリンパ節腫脹です。エコーで黒くオタマジャクシ様に見える脾静脈(水色矢印)の腹側に、膵臓(紫色矢印)が灰色にエコーで見え、その膵臓の膵頭部表面に、腹腔内悪性腫瘍により楕円形に腫大したリンパ節(赤色矢印)が確認できます。
⑦,⑧は悪性リンパ腫の同一症例です。脾臓は14cm大に腫大し脾腫を認めます。よく見ると、脾臓内の一部に悪性リンパ腫による病変(紫色矢印)が淡い黒色に見え、⑦では脾臓に血管が流入する脾門部に腫瘤(赤色矢印)を認めます。⑧では脾門部で脾臓に流入する脾動脈(黄色矢印)を取り囲むように、淡い黒色の陰影(赤色矢印)が見えます。悪性リンパ腫では、しばしば血管を周囲から取り囲むようにリンパ節が腫大する像が見られます。血液疾患により生じた脾腫と脾門部のリンパ節が腫大し脾動脈を取り囲んでいる病態が疑われ、専門病院での精密検査により悪性リンパ腫と確定診断されました。
⑨~⑫は、悪性腫瘍による頸部リンパ節腫大の同一症例で、顎下から左鎖骨上にかけて腫大したリンパ節が多発しています。⑨では、20㎜以上に腫大したリンパ節(赤色矢印)を認め、周囲にもリンパ節(白色矢印)が多発しています。⑨,⑩,⑪のリンパ節は、被膜に覆われており、比較的境界明瞭です。ドップラー画像でリンパ節周囲に色が付いて栄養血管が見え、リンパ節内に血流が豊富な所も一部で認めています。⑩,⑪ではドップラーで色が付く頸動脈(黄色矢印)周囲に、腫大したリンパ節(赤色矢印)が数個見え、⑪では左鎖骨上リンパ節も腫大しています。⑫では数個のリンパ節が一塊になっているように見え、全体で30㎜以上の大きな腫瘤を形成しています。
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