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超音波検査(大腸③)

超音波検査「大腸③」

ウイルスや細菌、寄生虫などの微生物で汚染された食物を摂取することで、腸管に感染をきたす病気が感染性腸炎で、吐き気や嘔吐、腹痛や下痢、血便などの症状を認めます。一般的に、ウイルス性腸炎では嘔吐や水様性の下痢を主症状とする小腸型の腸炎を起こします。一方で細菌性腸炎では大腸の粘膜障害が強いことも多く、血便や粘血便をを伴う大腸型の腸炎をしばしば発症します。①~④はキャンピロバクターによる細菌性腸炎の同一症例画像です。細菌性腸炎では、肛門に近い直腸、S状結腸に比べて、小腸に近い盲腸、上行結腸、横行結腸に炎症が強いことが多く、この症例でも盲腸から上行結腸にかけて高度炎症による大腸の壁肥厚を認めています。①,②の盲腸~上行結腸の短軸像では、白・黒・白の層構造を保った9mm程度の壁肥厚を認め、③の上行結腸長軸像では、高度炎症により一部で大腸壁の層構造が判別しにくくなっています。④の右側横行結腸像では壁肥厚も4.9mmと軽減傾向で、下行結腸から肛門には壁肥厚は認めませんでした。⑤~⑦もキャンピロバクター腸炎による同一症例の画像で、層構造が比較的保たれた壁肥厚を、上行結腸から横行結腸に認めています。また⑦では、上行結腸周囲のリンパ節が炎症性に腫脹している像も確認できます。


⑧~⑩は病原性大腸菌による細菌性腸炎のエコー画像です。下行結腸からS状結腸にかけて、比較的層構造が保たれた粘膜下層中心の大腸壁の肥厚像が確認できます。⑧の短軸像では、大腸の壁肥厚のために大腸内腔の腸管ガスは追いやらています。そのため本来なら白く見える内腔ガスの層(第1層)は確認できず、中心には粘膜層(第2層)が黒く見え、その周りに粘膜下層が白色に肥厚し、さらにその周囲に筋層が黒く見えることで、黒・白・黒と弓道の的の様に肥厚した大腸壁がエコーで観察されます。⑨,⑩の下行結腸とS状結腸の長軸像でも、細菌感染による炎症により連続性に肥厚した大腸壁を認めます。⑪~⑱はアメーバー赤痢という寄生虫感染による感染性腸炎の同一症例画像です。アメーバー赤痢は盲腸~上行結腸と直腸に病変を認めやすく、⑪~⑬でも盲腸の壁肥厚を認めています。⑭~⑯の内視鏡像では、盲腸に白苔の付着した潰瘍面が見られます。肛門から入ってすぐの直腸壁も、⑰のエコー像のように直腸壁の肥厚を認めました。エコーで黒色に見える膀胱(水色矢印)の背側に前立腺(黄色矢印)が見え、その背側に厚さ9.1㎜に肥厚した直腸(赤色矢印)が観察されます。⑱は同一症例の直腸内視鏡像で、アメーバー赤痢によるる小びらんを粘膜面に確認できます。

 

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