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超音波検査(十二指腸)

超音波検査「十二指腸」

十二指腸は胃と小腸の間にある腸管で、膵臓の膵頭部周囲を回るように位置し、正常の十二指腸は画像①,②のように胃(赤色矢印)に隣接する壁の薄い腸管としてエコーで見えます。十二指腸は壁が薄く胃から入ってすぐの十二指腸球部は腸管ガスが溜まりやすいため、エコーで観察しにくいことも多いです。③~⑤は胃アニサキスの同一症例画像です。アニサキスはサバやイカなどの海産物につく線状の寄生虫で、アニサキスが寄生する海産物を生食しアニサキスが胃壁に食いつくとアニサキスに対するアレルギー反応により胃は肥厚し腹痛を生じ、アレルギー反応が高度になると十二指腸の壁肥厚も

認めます。③,④の肝臓(紫色矢印)の足側にでは、胃(赤色矢印)はアニサキスによる炎症で壁肥厚を認めます。内視鏡像⑤は胃内のアニサキスの虫体で、十二指腸の内視鏡像⑥ではアニサキスによる粘膜損傷は認めないものの、エコー像③,④ではアニサキスに対するアレルギー反応の炎症が波及し十二指腸の壁肥厚(緑色矢印)も認めます。⑦~⑪も胃アニサキスの同一症例画像で、⑦~⑨では肥厚した胃(赤色矢印)に隣接した十二指腸(緑色矢印)も壁肥厚を認めます。⑩の内視鏡像では黄色矢印で胃粘膜に刺入したアニサキス(水色矢印)が確認でき、⑪ではアニサキス虫体を鉗子で摘出しています。


十二指腸は胃に隣接した臓器で、胃から分泌された胃酸により十二指腸に粘膜損傷を起こすことで十二指腸潰瘍は発生します。十二指腸潰瘍の発生には胃酸が関与しており、十二指腸潰瘍はほとんどの場合に胃に隣接している十二指腸球部に発生し、特に十二指腸球部前壁に好発します。胃潰瘍と同様に潰瘍自体は基本的にエコーでは描出は困難ですが、肥厚した十二指腸壁と潰瘍内に貯留した腸管ガスを描出することで、エコーでも十二指腸潰瘍の発生を推測できることがあります。⑫~⑯は十二指腸潰瘍の同一症例の画像です。⑫,⑬は胃長軸方向からの十二指腸潰瘍のエコー画像で、⑫では胃(赤色矢印)に隣接する十二指腸(緑色矢印)の壁は黒く壁肥厚を認めるとともに、前壁側には潰瘍内に溜まった腸管ガス(白色矢印)が白く見えています。⑬の拡大画像でも、壁肥厚を認める十二指腸(緑色矢印)と潰瘍内の溜まった腸管ガス(白色矢印)が白く見えています。⑭の胃短軸方向の画像でも、肝臓(紫色矢印)の足側にある十二指腸(緑色矢印)の壁は肥厚し、その前壁側に潰瘍内に溜まった腸管ガス(白色矢印)が白く見え、背後に影(桃色矢印)を引いています。⑮,⑯は同症例の内視鏡画像ですが、十二指腸球部の前壁測に深掘れの潰瘍面を認めており、⑫~⑭のエコー像で見られた前壁側のガス像は潰瘍内に貯留したがガス像に一致していると考えられます。

 

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